医薬品成分としてのCBD:各国の薬局方について


2022/07/22



薬局方(やっきょくほう)とは、医薬品に関する品質規格書のことです。通常、医薬品の成分は、薬局方に収載され、欧州薬局方、ドイツ薬局方、米国薬局方、日本薬局方など各国で整備されています。

日本でも印度大麻草、印度大麻エキス、印度大麻チンキが1886年(明治19年)から1951年(昭和26年)の65年間は、日本薬局方(第1局から第5局)に収載され、医薬品として使われていた歴史があります(書籍「カンナビノイドの科学」参照)。

CBD(カンナビジオール)は、ドイツ薬局方外規格(DAC)/新処方フォーミュラリ(NRF)モノグラフC-052 として2016年に収載され、現在2020年版となっています。
下記、2020年版については、日本語仮訳をしたものをご参照下さい。

2022年には、CBDモノグラフとして、欧州薬局方案(PA/PH/Exp.11/T(21)50ANP、米国薬局方案USPが提案されています。

いずれの薬局方において、Δ9-THCの制限値がいずれも0.1%以下です。

●ドイツ薬局方DAC/NRF 2020/2 C-052

由来:C.sativa L.合成品又は調剤
同定:
A.IR(赤外吸収スペクトル 2.2.24)
B.TLC(薄層クロマトグラフィー)
品質:
1. 比旋光度(2.2.7)128-135
2.LC(液体クロマトグラフィー2.2.29)
3.強熱残分(2.4.14)0.1%以下
不純物:
A.CBN 0.10%以下
B.Δ9-THC 0.10%以下
C.Δ8-THC 0.10%以下
個々の不純物:各々0.10%以下
総不純物:0.5%以下


●欧州薬局方(案)PA/PH/Exp.11/T(21)50ANP

由来:天然由来の単離物(アイソレート)
同定:
A. IR(赤外吸収スペクトル 2.2.24)
B. 比旋光度(2.2.7)128-135
品質:
1.LC(液体クロマトグラフィー2.2.29)98.0-102.0%
2.含水率(2.5.32)0.5%以下
3.強熱残分(2.4.14)0.1%以下
不純物:
A.CBDV 0.15%以下
B.CBT 0.2%以下
C.CBN 0.15%以下
D.Δ9-THC 0.10%以下
E.CBD-HQ 0.10%以下
F.CBC
G.CBDA
H.Δ9-THCA F.G.H.(Ph.Eur.2004,5.10)
個々の不純物:各々0.10%以下
総不純物:0.8%以下

●米国薬局方(案)USP Draft

由来:C.sativa L.又は合成品
同定:未定
品質:98.0-102.0%
不純物:
A.CBN 0.10%以下
B.Δ9-THC 0.10%以下
C.Δ8-THC 0.10%以下
個々の不純物:各々0.10%以下
総不純物:2.0%以下


日本薬局方
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html

ドイツ薬局方
https://www.bfarm.de/DE/Arzneimittel/Zulassung/Zulassungsrelevante-Themen/Arzneibuch/_node.html

ドイツの薬用大麻について
https://www.cannabisagentur.de/

CBDモノグラフ欧州薬局方案
https://www.gmp-compliance.org/gmp-news/ph-eur-draft-monograph-for-cbd

CBDモノグラフ米国薬局方案
https://www.gmp-compliance.org/gmp-news/usp-draft-monograph-for-cbd


FileName:
ダウンロード:ドイツ薬局方モノグラフ-カンナビジオール

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