基礎情報
内因性カンナビノイド系

 体内には、地球上で生きていくために本来備わっている身体調節機能=内因性カンナビノイド系(Endocannabinoid system、略してECS)があります。内因性カンナビノイド系は、食欲、痛み、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶などの機能をもち、細胞同士のコミュニケーション活動を支えています。

 内因性カンナビノイド系は、1990年代に発見された“アナンダミド”と“2-AG”と呼ばれる体内カンナビノイドとそれらと結合する神経細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB1”、免疫細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB2”などで構成され、全身に分布しています。

 最近の研究では、内因性カンナビノイド系は、外部からの強いストレスを受けたり、加齢に伴う老化によって、内因性カンナビノイド系の働きが弱り、いわゆる「カンナビノイド欠乏症」になると、様々疾患になることが明らかになってきました。

 これらの作用を利用したカンナビノイド医薬品(イギリスGW製薬のサティベックス)が2005年にカナダで多発性硬化症の痛み改善薬として承認され、てんかん、ガン疼痛、神経膠腫、2型糖尿病、潰瘍性大腸炎、統合失調症などの疾患の臨床試験が進んでいます。

カンナビノイドの分類
由  来
植物性カンナビノイド
用 途 目 的 物質名・商品名
①ハーブ利用
食品・化粧品・嗜好品
セルフケア
健康・美容・生活
Δ9-THC,CBD,CBN,CBG,
CBDV, THCV,CBC,THCA,
CBDA など 104種類
由  来
合成カンナビノイド
用 途 目 的 物質名・商品名
①試薬 研究
(危険ドラッグ)
WIN 55,212-2、CPシリーズ、
HUシリーズ、JWHシリーズ
など772物質(指定薬物)
②医薬品 治療 マリノール(合成THC)
セサメット(合成THC誘導体)
由  来
内因性カンナビノイド
用 途 目 的 物質名・商品名
体内で生成・
活性・分解
恒常性維持 AEA(アナンダマイド)
2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)
など10種類

カンナビノイド・・・薬用植物アサの有効成分

 アサ科1年草の薬用植物アサ(Cannabis sativa L.)には、カンナビノイドと呼ばれる生理活性物質が含まれています。カンナビノイドは、炭素数21の化合物で、104種類あります。その中で、よく知られているのは、マリファナの主成分で有名なTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)と精神作用のないCBD(カンナビジオール)です。

 THC及びCBDは、1960年代にイスラエルの化学者メクラム氏によって発見され、ポリフェノール構造をもちます。THC濃度が0.3%未満の産業用大麻と呼ばれているアサの品種にCBDは、1~15%ほど含まれています。

 日本では、1948年に制定した大麻取締法によって、カンナビノイドを多く含む花穂と葉の利用を禁止しています。また、日本では、大麻取締法第四条によって、医師の交付、患者の施用の両方が禁止されています。

現行法では、茎および種子由来のCBDであれば利用することができます。

 都道府県知事の許可があれば、農家には大麻栽培者免許、麻薬取締官や大学等の研究者には大麻研究者免許が交付され、アサを栽培したり、研究したりすることができます。しかし、これらの免許取得は、厚生労働省の指導や通知の細かい規定をクリアすることが非常に難しいのが現状です。

大麻取締法
第一条 この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く